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都市ガスを使うインド南部チェンナイ在住の主婦。この事業には大阪ガスも参画している=2025年2月18日、伊藤弘毅撮影
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 インドで事業を展開する日系企業の数が4年ぶりに増加に転じた。IT企業が開発拠点を構えるなど、業種も多様化している。だが、トランプ米政権とインドの関係悪化で、有望市場での日本の競争環境が大きく変わる恐れが出てきた。

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 在インド日本大使館と日本貿易振興機構が6月に発表した資料によると、2024年のインドの日系企業数は1434社。最多だった20年(1455社)を境に3年続けて減ったが、その水準に再び迫る。

 コロナ禍を経て企業数が再び増えた一因は、現地の新車販売で首位に立つスズキなどの製造業に加え、業種や進出目的に幅が出てきたことだ。その一つが、IT企業などが進めるサービス開発拠点の開設だ。

 家計簿アプリを運営するマネーフォワードは25年、南部チェンナイに開発拠点を開いた。現地で採用した技術者が、日本とベトナムの拠点と連携してアプリなどの開発に当たる。

 目的は人材確保だ。インドには長年、「GAFA」など外資テック企業の業務委託拠点が置かれ、技術者の層が厚い。中出匠哉CTO(最高技術責任者)は「インド進出は、日本で年々難しくなる人材獲得競争の解決策になる」。メルカリも22年にベンガルールに拠点を開くなど、南部への進出が目立つ。

 モディ政権が脱炭素や大気汚染対策のために都市ガスの普及を進めるなか、大阪ガスは外資企業と提携し、インド南部を中心に、自動車向け圧縮天然ガス燃料(CNG)の供給・販売事業などを拡大中だ。静岡ガスも現地企業への出資を通じて22年に参入した。

「倍増」目標には遠く

 日系企業が拠点を拡充する動きも広がり、工場や販売網の数は3年連続で増え、過去最多だった18年を上回った。

 ただ、日系企業の進出数は爆発的な増加、とまではいえない。14年に当時の安倍晋三首相が掲げた、進出企業数を14年(1156社)から5年で倍にする目標は今も未達成だ。

 日本と消費者の好みが異なる難しさや低価格志向に加え、税務など事業運営上の手続きが煩雑だと指摘する声も多い。関係者には「経営資源の限られる中小企業には、進出のハードルは高い」との声もある。

 そんな中、日系企業にとって気がかりな動きは、インドと安全保障上の脅威と指摘される中国に関係改善の兆しが見られることだ。インドが中国からの投資に事実上の規制を設けてきたことで、日系企業は現地市場で中国企業との競合を避けられたが、市場環境が変わる可能性も出てきた。

きっかけは米印の関係悪化

 きっかけは、米印の関係悪化…

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